教えない環境がなぜ必要なのか(電子ブック版)

学習習慣 不登校 発達障害? 学校苦手 勉強嫌い 勉強苦手 内 気 内 気 元 気 勉強得意 勉強好き やる気が出ない 勉強方法が分からない 続かない 家庭教育アドバイザー 心理カウンセリング 1 級 コーチング 1 級 創己ゼミ 代表 山口博久 「勉強」を通して豊かな人生を 歩める環境づくりにこだわり 続けて31年! 教えない環境 が何故必要なのか? 創己式「自立学習力」習得メソッド 31年の実績 教えない環境が何故必要なの か 山口博久

子どもが「勉強」を通して 幸せな人生を歩めるために が何故必要なのか? 教えない環境 家庭教育アドバイザー・ 心理カウンセリング1級 コーチング1級 創己ゼミ代表 山口 博久

目 次 第1章 子どもが「勉強」を通して、 「幸せ」に「人生」 を歩めることが目的 … ………………… 5 ●私が、最初に親御さんにお願いすること ………………… ●私の六ケ条 ……………………………………………………………………………………… 第2章 「自分」を「創る」場にこだわってきた 年……… ●「教えない環境」を創る法則とは …………………………………… ●クリエイティブ・ミーティングとは …………………………… ●クリエイティブ・プランニングとは ………………… ●クリエイティブ・トレーニグとは …………… 6 22 31 35 36 43 45 48

第3章 「信じ・待ち・発見する」ことのできる モチベーションクリエーターになる……………………… ● 持続可能なモチベーションを支えるのが 家庭と創己ゼミの役目 …………………………………………………………… ●塾を回も変えたA君 …………… ●部活が楽しく、勉強が嫌いなB君 ………………………………… 第4章 「自立学習の習得」が、 受験・就活・人生に大きく役に立つ……………………… ●「自立学習力」を習得する …………………………………………………… あとがき …………………………………………………………………………………………………………………………… 53 54 12 63 72 81 82 96

子どもが「勉強」を通して、 「幸せ」に 「人生」を歩めることが目的 第1章

6 31 ●私が、最初に親御さんにお願いすること 私は年間、家庭教育アドバイザー・心理カウンセリング1級カウンセラー、 コーチング1級トレーナーとして 、「勉強」 を通して子どもが「幸せ」 に「人生」を 歩めるための「場」創り にこだわり 「創己ゼミ」 を経営してきました。そして、多 くの親御さんに共感していただき、毎年いろいろな境遇の生徒を受け入れてき ました。 創己ゼミでは、 一つの法則に基づいた「教えない環境」 を創り、学校生活、受験 勉強はもとより、社会に出てからも 「 自分の力で切り開く自走力 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 」を習得 してい

7 第1章 子どもが「勉強」を通して、「幸せ」に「人生」を歩めることが目的 ただきます。 主体性を産み出す「教えない環境」創りの中で、外すことができないのが、 よ りよい親子関係の構築 です。 私も2人の子どもを成人させた親です。これは私自身も試行錯誤しながら実 践してきたことです。 子どもにとって親との関係は、 日々の幸福度 に大きな影響を与えるものです。 親は子どもが幸せそうに笑っている様子を見ることが一番安心なはずなのに、 勉 強から離れたところで楽しそうにしていると、 「そんなことより勉強しなさい」 と言ってしまう。

8 ―そんなことより― 親としてはその先にある定期テストや入試を考えて、気持ちを切り替えて頑 張りなさいという意味合いを含んだのでしょう。自分が学生時代、もっと勉強 しておけばよかったと後悔していることを子どもに伝えたい方も多いですよね。 楽しいことをしたいのもわかるけど、勉強しないと後悔するよ… …と。 しかし子どもは「あなたの楽しみなんかどうでもいいから勉強しなさい」 と言 われたように感じるかもしれません。 そんな毎日が続くと、勉強しないと叱られる、成績が下がると叱られる、 親の

9 第1章 子どもが「勉強」を通して、「幸せ」に「人生」を歩めることが目的 前で楽しそうにしていると叱られる、家庭がそんな場所になって しまいます。 創己ゼミに入会を希望する親御さんのほとんどは、面談の際 「家でまったく勉 強しないんです」 「どんなに勉強しても成績が上がらないんです」とおっしゃい ます。そのせいでイライラが募って子どもに当たってしまうと悩んでいる方も 少なくありません。 「どうすれば勉強するようになりますか?」 「どうすれば成績が上がりますか?」

10 その答えはお子さんによってさまざまです。 親が何も言わなくても努力ができ、やればやっただけの結果が出せる、 どうす ればそのような子になるんだろうと考える前に、一度これまでの親子関係を振 り返ってみてください。 向き合ってみると、自分の意見や考えを上手く話せる子ばかりではなく、 人に 話せるほど自分をよくわかっていないという子も多いのです。それはおかしな ことではありません。 どうしてこの子は期日が迫 もやる気にならないんだろうと不思議に思う かもしれませんが、親からどんなに「勉強しなさい」と言われても、 目標がない

11 第1章 子どもが「勉強」を通して、「幸せ」に「人生」を歩めることが目的 よりよい親子関係の構築のために NG

12 状態で、楽しくもない勉強をすることに価値が見いだせないのでしょう。 親は勉 強したことによるメリットも、もっとしておけばよか ったという後悔も実際に経 験していますが、子どもにはまだ実感がありません。 かといって、将来どんな職業につきたいか、 そのためにはどんな勉強をすれば いいのかなんて無理やり考えさせてはいけません。私ち大人だってそんな逆 算をして今の仕事やポジションに着いているわけではありませんよね。 「わら ない」という子どもに 「おまえには夢がないのか!」

13 第1章 子どもが「勉強」を通して、「幸せ」に「人生」を歩めることが目的 この言葉は、禁句だと思ってください。将来の夢 がないことは決して悪いこと ではありません。そもそも夢はなければいけないのでしょうか。例えば、 中学生 は具体的になりたい職業を思い描きにくい時期なので、夢と勉強を結びつけす ぎるのはよくないと思います。 また、小学生が気軽に「〇〇になりたい!」 と言えるのは、まだまだ知識や経 験が少ないからで、常に見ているものや関わりのある人をあげています。 ちなみ に「日本FP協会 小学生『将来なりたい職業』 ランキング」の結果はこちらです。

14 小学生「将来なりたい職業」ランキング 2021 年 2012 年 順位 職 業 順位 職 業 1 サッカー選手・監督など 1 野球選手・審判など 2 野球選手・監督など 2 サッカー選手・指導者 3 医師 3 その他スポーツ 4 ユーチューバー 4 ゲーム関連(クリエーターなど) 5 ゲーム制作関連 5 コック・料理人など 6 会社員・事務員 6 医師 7 プロゲーマー 7 警察官・警察関連 7 建築士 8 学者・研究者など 9 飼育員 9 自動車関連 10 料理人・シェフなど 10 農業・漁業 10 マンガ家 19 1 医師 1 パティシエ・ケーキ屋など 2 看護師 2 保育士 3 保育士 3 教師 4 イラストレーター 4 医師 5 教師 5 デザイナー各種 6 薬剤師 6 美容師・ヘアメイク 7 美容師 7 薬剤師 8 パティシエール 8 看護師 9 獣医 9 医療関連 10 会社員・事務員 10 芸能関連 男 子 女 子

15 第1章 子どもが「勉強」を通して、「幸せ」に「人生」を歩めることが目的 10 2021年の結果で顕著なのは、「ユーチューバー」 が初めて男子のトップ5 入りを果たし、 「会社員・事務員」はランキング開始以来、 初めて男女揃ってトッ プにランクインしています。例えば、ご自身のお子さんに 「ユーチューバーに なりたい」 「会社員・事務員になりたい」と言われた時に何と答えますでしょう か? どうかまずは、 全てを肯定してあげてください。なりたい理由を聞いて、ただ ただ肯定してあげて下さい。楽しそうに話し続けたなら、 将来本当に目指すこと が見つかったときに、自己肯定感をもつことができる人は、 それを突き進めるも のです。

16 将来の「夢」を現実的に捉えられるようになるまでには、 たくさんの知識と経 験が必要です。やりたいこととできることのギャップを知って、 多くの子どもが 中学生になると安易に口に出せなくなってくる、それは自然な流れ です。 それではどうやってやる気にさせるのか。 子どもにだけ頑張りなさいと言うのはちょっと都合が良すぎます。子どもは 経験が少ない人生の初心者ですが、親も最初は子育ての初心者です。 子どもが生まれた日が親になった日として、親子は共に成長していくものだ とも言われますよね。乳幼児の頃は抱っこのしかたやゲップの出しかた、 離乳食

17 第1章 子どもが「勉強」を通して、「幸せ」に「人生」を歩めることが目的 の与えかたなど、子育てのマニュアルのようなものがありますが、 そこから先は 親の価値観で接していくことになります。それまで自分が経験してきたことだ けでは限界があるので、親もさまざまなことを学んで「親」 になっていかなけれ ばなりません。 ある時期から「この子は何を考えているのかわからない」 と悩む親は一定数い ます。夫婦は他人だとあきらめがつくけれど、 子どもに関しては自分の思い通り になるはずだと考えて価値観を押しつけて反発されしまうんですね。 まずは、 「自分と子どもは違う人間だ」 という事実を認識することがスタートです。

18 子どもと自分は違う人間なんだと思うことで、子どもが思い通りの行動をし なくてもイライラすることが減るはずです。というのは簡単ですが、 テストが近 いのにテレビを見て笑っている、入試が近いのに毎晩早く寝ている、 そんな子ど もを見て、黙っていられる親は少ないでしょう。 「勉強しなくて大丈夫なの?」 思わずそんな言葉が出てしまいますが、一番「大丈夫じゃない」 と感じている のは子ども自身なのです。でも、テストの点数が 悪くても今は困るわけじゃない し、第一志望校が無理なら第二志望校にすればいい、 と不本意ながらも自分の中 で納得できる理由があるのでしょう。成績を上げる明確な目的がないの です。

19 第1章 子どもが「勉強」を通して、「幸せ」に「人生」を歩めることが目的 そんな欲のない子どもに、 「今頑張らないと後悔するよ」 と言ったところで疎ましく思われるだけでしょう。 「私は今になって、もっと勉強しておけばよかったと後悔している」 と熱く語ったところで、大人になった自分と重ねてみる ことなんかできないで しょう。子どもが やる気 4 4 4 を出すために大切なことは、自分はこうしたい、こうあ りたい、そのためにはこれが足りない、 と 危機感を自分ごととしてとらえられる ようになることだと思います。言われたから仕方なくやる、 親を喜ばせるために 頑張る、というのは他人ごとなのです。

20 親が毎日つまらなさそうに仕事をして、子どもがいい学校へ行って立派な大 人になることだけを楽しみにしているとしたら、子どもが失敗する度に親のほ うが落ち込んで、子どもは親の分まで苦しみを背負うことになって しまいます。 親の役割は、子どもの様子を見守ること、もし失敗し てもドンと構えていられ るようになることだと思います。

21 第1章 子どもが「勉強」を通して、「幸せ」に「人生」を歩めることが目的 よりよい親子関係の構築のために

22 ●私の六ヶ条 ここで、私が心得ていることを 六ヶ条 として記しておきます。今後、何かに 迷ったとき、悩んだときにはこのページを開いてみてください。 きっと何らかの 気づきがあると思います。 一 子どもとあなたは違ったひとりひとりの人間である 両親の血を受け継いでお母さんのお腹の中で大きくなってきた子どもを、所 有物のように考えてしまう気持ちはわかります。しかし、 子どもは親がよいと思 うことをすべて納得し、親の思うような生き方をるとは限りません。 傍から見

23 第1章 子どもが「勉強」を通して、「幸せ」に「人生」を歩めることが目的 れば、確かにそのような子どももいますが、それは子 どもが親に従っているので はなく、親が子どもを一人の人間として認めているからな のです。 二 子どもが生きるためには親の力が必要 子どもが成長するためには大人がいろいろなことを教えて、力添えをしてあ げなければなりません。幼児の頃は、 「これは食べてはいけないよ、壊してはいけないよ」 「親から離れると危険なんだよ」 「たくさんの人がいるときにはこうしちゃいけなよ」 これらは安全に、周囲に迷惑をかけずに生きるために必要なことで、 幼児には

24 親が教えてあげますよね。それを世の中では 「しつけ」といいます。 子どもはそれらをふまえたうえで、成長とともに「自分はこうしたい」 という 自我が芽生えはじめます。その時期にどのように接していましたか ? 「しつけ」だからと、親が常に子どもの優位に立って、 大声を出 り叩いたり していたならば、子どもは親を恐れて目の前で やめるだけでょう。 度を 越えると、 「虐待」にもつながります。 「しつけ」とは親が子どもをコントロールするためのものではなく、子どもが 納得して自分自身をコントロールできるようにな ものす。親は子ど もを愛し、幸せを願っているかこそ子 の言動に口を出すだと思います が、子どもの気持ちを聞かずに禁止 するのはただの押しつけになってしまい

25 第1章 子どもが「勉強」を通して、「幸せ」に「人生」を歩めることが目的 ます。 子どもは親の力添えがないとできないことがたくさんあるので、親の価値観 や費やせる時間やお金次第で体験できることが限られます。子どもが望むこと が、親にとって未知なことでも、すぐ に否定せずに理解する姿勢を見せることが 大切です。 三 黙って見守れる親であること 子どもの言動の先まわりをしてしまう親が多いように思います。私も子ども の頃はどうして黙っていてくれないんだろうと、わずらわしく感じたものでし た。今、こうして子育てを終えてわ かったことがあります。

26 口出ししてしまうのは、親自身が安心したいからなのだというこ とです。 親はこうたほうがまくいくとか、こうなと後々大変になるとか、 自身 の失敗と重ねてアドバイスしますが、子どもだって失敗して みないとわからない こともあります。でも、親は子どもに失敗してほしくない。 その気持ちも り ますが、子どもが失敗して辛い思いをしているところを黙って見守れるような、 心が強くて器が大きい人間になることが親の課題とも言えます。 親からあれこれ求めすぎると子どもは抱えきれなくなってしまうので、 子ど もが助けや協力を求めやすい存在 であることが大切です。

27 第1章 子どもが「勉強」を通して、「幸せ」に「人生」を歩めることが目的 四 自分の人生の後悔を子どもに挽回させてはいけない もっと勉強していい大学に入って、いい企業に就職したか ったと後悔している 親が、子どもには将来のために勉強させようと考えることは少なくないと思い ます。 自分のように後悔してほしくないと思っているのであれば、まずは自分自身 の自己肯定感を高めることからじめましょう。 自己肯定感を高めるためには、立派なことをして「すごいね!」 言われる人 になる必要があると考えていませんか? 実際はそんな難しいことではないの です。 ・ 自分の仕事、役割、ポジション、 やりたいこ等、自分のことを考えてみる

28 ・ 子どもも大変なんだなと思えるまで考えてみる ・ 相手の立場に立って状況を想像してみる ・ 夫婦の会話を増やして感謝を言葉に合う ・ 自分のためだけの時間をつくる ・ 自分の楽しみにも投資する このようなことを少しずつ実践してみてください。子どものことを二の次に するのは親として良くないのではないかという罪悪感をもたないことです。 親が自分の楽しみを大事にして楽しそうにしていと、子どもは自分のこと で親が一喜一憂するいう状況から解放されます。そして身近に些細なことで も感謝し合って幸せそうにしている両親がいることで、自分も幸せな気持ちに

29 第1章 子どもが「勉強」を通して、「幸せ」に「人生」を歩めることが目的 なるはずです。 自己肯定感が低いまま大人になった人の話を聞くと、子どもの頃に完璧であ ることを求められたり、出来のいいきょうだいと比べら れたりして褒められたこ とがない。 「自分はかわいがられていない」と感じていたとい う声が多いのです。 人は誰でも褒められたり、感謝されたりすることで自己肯定感が高まっていく ものです。その喜びを親が実感してはじめて、 子どもにもそれを伝えることがで きるようになります。 それは一朝一夕でできることではないので、気づ いたその日から焦らずゆっく り取り組むことをおすすめします。

30 五 子どもの心身の健康管理が親の役目 親から「頑張りなさい」 「投げ出さないでやり遂げなさい」と言われ続けること は、子どもにとってとても重く、大きな負担になることがあります。もちろん、 この言葉が良い方向に働くこともあるので、言ってはいけな いということではあ りません。 要は子どもが心身ともに無理をしていないかどうかを常に見守ってあげて、 本当に辛くなったら「もう無理」と言える親子関係 であることが大切なのです。 そのような状況になったときに、もっと頑張れるはずだ、 あと少しなのにどうし て投げ出すのだと気持ちも聞かずに責めてしまったら、子どもは二度と親の前

31 第1章 子どもが「勉強」を通して、「幸せ」に「人生」を歩めることが目的 で弱音を吐くことはなくなってしまうでしょう。 親は経験上、あの時もっと頑張ればよかった、 投げ出さなければよかったと後 悔していることは多々あると思いますが、そのときの自分にと ってそれが精一杯 だったのであれば、人生の失敗や汚点でないんですよね。 どんなことでも必死で 頑張ればできるという考え方はちょっと危険です。 やはり、心と体の健康が第 一だと私は思ってい ます。健康であれば、 や 4 る気 4 4 が出たときにスム ーズに波にのれる 体力があるし、ストレス に耐え る心の強さもある でしょう。学生時代の時 間には限りがある だけに焦り ますよね。日々の生活の なかで、子どもに疲れや すい、体がだるい、気力 がわかないなどの様子が 見られたらさぼっているんじゃな いかと言わず

32 に、安心して休ませてあげることも親の大切な役目なのです。 六 何ごともほどほどに 子どもがやりたいことをやらせたいと言っているわりには、「これがしたい」 と言ったとたんに子どもが考える前にあれもこれもお膳立てをしてしまう親も います。例えば「ピアノが弾きたい」 と言われて、すぐに一流の先生を探しはじ めたり、ダンスがしたいと言われてオーディションを 受けなさいなどと勧めたり するようなケースです。やるからには意義をもたせようとするんですね。 これで は楽しさが半減してしまいます。 子どもの「やりたいこと」は気まぐれであることも多 く、一ヶ月後には変

33 第1章 子どもが「勉強」を通して、「幸せ」に「人生」を歩めることが目的 わっていることもめずらしくありません。やってみたものの、やはり向いてい ないと思う場合もあります。やりたいことをやらせたいと考えるなら、プレッ シャーをかけないことです。 また、何も口出しせずに無関心な親もよくないんですね 学校生活に必要なこ とはきちんとやってくれるけれど、子どもが何を考えているのか、 毎日誰と何を して過ごしているのかには関心がないいうケースです。 学校での出来事などを話しても興味をもってもらえない、迷って相談しても 「どっちでもいいよ」と言われる。思春期に口うるさい親じゃなくてよかったと 思いつつ、 「自分のことなんかどうでもいいんだな」と感じてしまうと、 子どもは とても傷きます。

34 親子関係に限らず、 何ごともほどほどがいい ということなんですね。ほどほど は中途半端のようにもとれますが、心身ともに余力があって、 また明日も頑張ろ うと思える最良状態であると思います。 私の六ヶ条 一 子どもとあなたは違ったひとりひとりの人間である 二 子どもが生きるためには親の力が必要 三 黙って見守れる親であること 四 自分の人生の後悔を子どもに挽回させてはいけない 五 子どもの心身の健康管理が親の役目 六 何ごともほどほどに

「自分」を「創る」 場に こだわってきた 年 第2章 31

36 ●「教えない環境」を創る法則とは 前章では、 「教えない環境」を創り、 学校生活、受験勉強、社会に出てか らも「自 分の力で切り開く自走力」を習得していただく上で外すことのできない 「よりよ い親子関係の構築」 のお話をさせていただきました。 この第2章では、その「教えない環境」 を創る 一定の法則 である創己ゼミの指 導法について詳しくお話ししたいと思います。 「創己ゼミ」は、平成4年に、単なる 「受験」や 「補習」の場としてだけではなく、 一回しかない人生で楽しく「自分を創場」 として命名し、スタートを切りま

37 第2章 「自分」を「創る」場にこだわってきた31年 した。 私は、創己ゼミ設立前に某大手予備校のスタッフをしており、 大手進学塾・予 備校の「成績を上げること」 「志望校に合格すること」のみを目標とした指導が、 一部の生徒には有効であっても、それ以上に多くの生徒が自信をなくし、 また受 け身になっていく状況を見て、その指導に疑問をもつようになり ました。 そして、合格・不合格にかかわらず、人生の 通過点でしかない受験で 燃え尽き てしまう 多くの子どもたちを見て、 「子どもたちが「勉強」 を通して、 「幸せ」に 「人 生」を歩める環境を創りたい」 と強く感じました。若かったこともあり、直線的、 直感的に、今では上場し、業界トップの大手予備校スタッフをやめて、 京王堀之

38 31 31 内駅前のビルの一部屋を借りて独立しました。 「マニュアル化・ビジネス化」 された教育は、 受け身の子どもを多く生み出 してしまいます。創業以来 年間、ずっと貫き通してきたことは、子どもたち を〟自分の頭で考えて行動してみる〝 という習慣化に導き、 自分力(自走力)を高 める ための 「教えない」指導法 です。子どもたちが ちゃんと生きる ための教育環 境を創ことにこだわり続けています。 私が、年間の指導を通して思うことは 「本気にまさる才能はなし」 ということです。

39 第2章 「自分」を「創る」場にこだわってきた31年

40 学校の勉強・受験 ・資格・ 仕事などのスキルは、 「本気」になれば必ず習得できます。 創己ゼミを設立してから現在まで、生徒一人ひとりに対して常にこだわり続 けてきたのは 「持続可能なモチベーション」 を一緒に創ることでした。 そして、最終的に次の3つの指導方針を軸に「モチベーションクリエイト」 と いう指導方法にたどり着きました。

41 第2章 「自分」を「創る」場にこだわってきた31年 モチベーションクリエイト ①クリエイティブ・ミーティング ②クリエイティブ・プランニング ③クリエイティブ・トレーニグ ※ 3つのクリエイティブ・アクションは、 全て、モチベーションにつなげる こ とが大原則。

42 創己式「自立学習力」習得メソッド

43 第2章 「自分」を「創る」場にこだわってきた31年 ●クリエイティブ・ミーティングとは クリエイティブ・ミーティングは、 入会時と、その後月1回は必須 で、あとは 必要に応じて随時おこないます。クリエイティブ・ミーティングで最も大切な ことは、 「全肯定」 です。人を傷つけたり、人に迷惑をかけたりする反道徳的な こ と以外は、思ったことを尊重して話をすすめます。 また、 「続けやすい環境であることが重要なので、今日あったこと、好き なこ と、嫌だったことなど何でも話せる雰囲気をつくっていま す。 実は、ミーティングの内容は何でもよいのです。 コーチである講師たちと何で も楽しく話せるようになる「モチベーション」 が上がっていきます。

44 そのような中で、、講師は、 テストだけでは判定できない、一人ひとりの理解 力・集中力・コミュニケーション力・性格・ミスの頻度などを分析し、 しっかり と把握して、生徒と共有していきます。 また、 1つでもWANT(やりたいことや目標や夢など)を見つけるために、 ツールとして、 「夢・実現カード」 を活用していきます。

45 第2章 「自分」を「創る」場にこだわってきた31年 ●クリエイティブ・プランニングとは 毎月1回、 講師から「目標達成進行表+夢・実現カード」を提案し、生徒と一 緒にプランニング をしていきます。 入会時のクリエイティブ・ミーティングから約1か月で講師は、 一人ひとりの 性格、理解力、集中力、進度等を把握します。 そして、講師から生徒に1回目の 「目標達成進行表+夢・実現カード」を提案し、一緒にプランニングをおこない 「目標ま達す成。進行表」には、具体的に各教科で取り組む項目、量、 期日が書いてあ ります。

46 何故、講師から提案するのか。多くの親御さんが子どもに 「計画性を身に付け て欲しい」 「計画を立てて勉強して欲しい」と思っていらっしゃると思い ます。自 分で計画を立てて、実行し、それを続けていくことができる時点で、 自立学習力 は習得きていると言っても過言ではありません。自分で計画を立てて 計画通 りにいかず、続かない子どもの方が大半です。 クリエイティブ・プランニングの目的は、モチベーションクリエイト、 つまり 「やる気の出る」プランニングをすることです。講師は子どものことをしっかり 把握したうえで、達成可能な案を具体的に提示します。継続的におこなうこと

47 第2章 「自分」を「創る」場にこだわってきた31年 で、最初は補助輪(=講師からの提案) をつけながら、次第に プランニングをす るクセ がついていき 「計画性」 が育まれます。 そして、クリエイティブ・プランニングで大切なことは、 結果ではなく「プロ セス」をほめる ことです。結果の良し悪しの前に 「行動」 していることに価値が あるということがわかれば、自信や自己肯定感が生まれ、 「モチベーション」はす ぐにがります。

48 ●クリエイティブ・トレーニングとは 創己ゼミでは 「考える習慣・学ぶ技術を身に付ける」個別対応授業と「勉強グ セを身に付ける」自立トレーニング学習日 を用意しています。 個別対応授業では、 「教えない」ことが基本です。知識を教え込むのではなく、 各教科の自主学習方法(勉強時間の作り方・ノートの作り方、 まとめ方・予習復 習の仕方・暗記の仕方 など)と、考える筋道を教え、 早く覚えられて忘れにくく、 応用力がつく勉強法を指導していきます。 「答えを与える」ばかりの授業では、ただ聞いているだけでわかった気になり、 いざ自分でやろうとするとできない、ということになりがちです。 本当にできる

49 第2章 「自分」を「創る」場にこだわってきた31年 ようになるためには 「自分なりに考える」 作業が必要です。 創己ゼミでは理解のステップごとに 「生徒自身に説明させる」 ことを繰り返し ます。これにより、一人ひとりが理解を深め、自信をつけることができます。 大 切なのは、「答えを与えること」 ではなく、「答えを見つける手助けをすること」 です。 また、まずは子どもたちが主体性をもって勉強に取り組めるようにしなけれ ばならないので、遠くの大きな目標よりも、 「ミニテストで満点の連続記録をつ くる」とか、 「江戸時代の出来事の年号を全部覚える」など、 何か一つでも成功体 験をすことからはじめる指導にも力を入れています。興味をもってチャレン

50 ジできることを見つけられるようになると、集中力や記憶力もアップしていき ます。 さらに、通塾日以外の日は、勉強グセを身に付けるための 「自立トレーニング 学習日」 を設け、自宅でなかなか机に向かえないのであれば、毎日創己ゼミの机 で勉強してみようという計画を立ててもよいことにしています。学校の宿題を してもいい、定期テストや受験のための勉強をしてもOKで す。 ただし、行きたいときに行くというものではなく、予めスケジュールを組ん で、決めたことを実行してもらいます。 基本的には自分自身でじっくり考えることに重点をおいていますが、つまず

51 第2章 「自分」を「創る」場にこだわってきた31年 いたところはいつでも質問できる体制になっています。こうして、強制ではな く、必要性を感じられるようになれば、勉強することがラクになっていきます。 これまで何のためかもわからずにやらされていた勉強を 「自分ごと」 として捉え るようになるからです。

52 < 月 目 標 達 成 進 行 表> 生徒氏名: 評価:A=良くできるB=できてきたC=不安 教材:シリウス=S・ウインパス=WS ・ ワーク=W・アイワーク=iW ・ 教科書=教 ・ リード=R ・ チャート=C ・ パターン=P ・ その他のプリント=教材名 氏 名 学 校 学 年 教 科 日 教材 P・NO 授 業 内 容 状 況 評 価 教材 P・NO 宿 題 月 火 水 木 金 土 日 <夢実現カード> 目 標 理 由 期 限 方 法 今ほしいもの・したいこと: 自分自身に一言: 創 己 ゼ ミ 夢・実現カード 目標達成進行表

「信じ・待ち・ 発見する」ことのできる モチベーションクリエーターになる 第3章

54 12 ● 持続可能なモチベーションを支えるのが 家庭と創己ゼミの役目 小中高生のお子さんをもつ多くの親御さんがどうしても望んでしまうことと いえば ・なるべく偏差値の高い中学・高校・大学に合格すること ・なるべく高収入で社会的信用のある職業につく、または会社に入る こと ではないでしょうか。 令和4年月に発表された文部科学省の学校基本調査によると、大学や短大、

55 第3章 「信じ・待ち・発見する」ことのできるモチベーションクリエーターになる 83 8 56 20 専門学校への進学率は ・ %となっ ています。そのうち、大学(学部) 進学率 は・6%、高校卒業後に就職した人は %に満たないということです。 また、同じ職場で同じ仕事をしていて も、大卒と高卒とで給与に違いがある とされ厚生労働省の 「令和3年賃金構造 基本統計調査」で学歴別賃金を見ると、 高 校卒 271・5 千円、大学卒 359・5

56 千円、大学院卒 454・1 千円となっています。 このようなデータを見ると、親としては無理をし てでも大学は出しておきたいと考える気持ちもわか ります。子ども自身も大学へ行くべきだと考えてい ることも多いでしょう。 子どもが自主的に大学進学を希望して勉強をはじ めるのであれば親は応援するのみです。しかし、親 の価値観で重圧をかけることは避けたいですね。

57 第3章 「信じ・待ち・発見する」ことのできるモチベーションクリエーターになる はじめにお話ししましたが、 子どもと親は違う人間 です。 子どもが自分で考え、望み、努力した結果はす べて子どもの経験値として人生 の一ページに刻まれます。一方で親に 「やらされた」ことは、 あまりリアリティが ないです。これは大人でも同じだと思うのですが、 具体的な目標があって方法 を模索しながら頑張っているときはやりがいを感じるし、スキルアップを実感 できますよね。 勉強 でも 技術の習得 でも、大切なのはそこなのです。親の力 で頑張らせるので はなく、子どもが 「こうしたい」 「こうなりたい」 と望んで、自分で頑張りはじめ るまで信じ見守ってほしいと思っています。

58 やる気がない子というのは、決してこのままでいいと思っ てサボっているわけ ではなく、 興味がもてないだけだと思います。その証拠に、ゲームを始めたら、 信じられいような集中力で何時間もやっていますよね。好きなアニメのこと ならびっくりするほど物知りです。興味があることに対しては、 集中力も記憶力 も発揮できるわけです。 親は見ていてイラっとするでしょう。楽しそうにしているほど腹が立って、 「そんなことしていないで勉強しなさい!」 と言ってしまうかもしれません。 夢中になっていることを全否定して、嫌いな勉強に向かわせようとすると、 子

59 第3章 「信じ・待ち・発見する」ことのできるモチベーションクリエーターになる どもは自分自身を否定されているように感じてしまいます。まずは 集中してで きることがあるということを認めて あげてください。そして、子どもが楽しそう に話していることに耳を傾け、関心をもってあげてください 。 誰にでも 「自分を見て欲しい」 「認められたい」 という承認欲求があり、それが 満たされることで やる気 も湧いてくるはずです。 テスト前や受験期なれば、イヤでも学校や塾は追い込みモードになります。 家庭環境が良好であれば、早かれ遅かれ机向かうようになります。 子どもが主体的に勉強するようになるのを 「信じ、待つ」 のはとても大変なこ とだと思います。それでも 「あなたのことはあなたにまかせている」 という態度

60 で見守ることが大切です。子どもを認めるということは、 黙ってまかせる という こともあります。 そのような家庭環境をつくって創己ゼミにまかせていただ ければ 、個人差はありますが、 目標をもって頑張れる日が必ずきます。 大切なのは、本人が勉強に対して 興味を持ったその瞬間を見逃さない=発見 する ことです。その瞬間は、何カ月とか かることもありますが、必ず訪れます。 不思議なもので、普段の授業で感謝されることはあまりありませんが、 自分で 興味を持ったことを質問されて授業で解決してあげると感謝されます。自分事 になれば一瞬で、勉強に対する姿勢が変わります。 自分で考えて、行動し、結果を手にできる ように導くために、家庭でも創己ゼ

61 第3章 「信じ・待ち・発見する」ことのできるモチベーションクリエーターになる ミでも、自分事になったその瞬間を 「信じ・待ち・発見する」 ことのできるコー チでいることが大切です。創己流に言い換えれば、そういうコーチを モチベー ションクリエーター と呼んでいます。 なお、創己ゼミでは、ただ見守ってくださいとお願いするのではなく、 家庭と のコミュニケーショを大切にし、その日の生徒の学習内容、理解度、 心理状況 を記入した 「授業内容報告書」 を保護者にはお届けしています。また年2回の保 護者との2者面談を実施し(当然、ご希望があれば随時) 、ゼミでの生徒の状況 のご報告各ご家庭の教育方針、家庭学校での生 徒の状況等を話し合うことで あらゆる面から一人ひとりの生徒のことを考えていきます。

62 授業内容報告書 月 日 曜日 担当: 生徒氏名: 学年: 教科: 授業内容: 感想: 宿題: 創己ゼミ 授業内容報告書 月 日 曜日 担当: 授業内容報告書 信じ・待ち・発見する

63 第3章 「信じ・待ち・発見する」ことのできるモチベーションクリエーターになる 12 ●塾を 回も変えたA君 ある日お母さんと中学2年生のA君が相談に来ました。小学生の頃はできな いながらもお母さんが手取り足取り勉強させていたそうですが、中学生になっ てからはお母さんも教えられなくなり、塾に通いはじめたとのこと 。 A君は素直でやさしい印象で、 「ハイ」としっかり返事ができる子でした。 お母 さんの話を聞くと、 「この子はいつもこういうところを理解できないから問題が解けない」 「私が隣にいれば解けるのに、テストでは間違る」

64 「こういう方法で勉強すればいいと教えているのに自分では全くやらない」 など、A君のことは私が一番よくわかっているんですということでした。 私が A君に質問すると、A君は必ずお母さんの顔を見るので、 お母さんが答えるとい う流れ。きっとA君はこれまでお母さんが決めたことに従って生きてきたんだ ろうなと思いました。 「創己ゼミが最後の塾になるようにしようね」 と言うと、A君は「ハイ」 と応えてくれました。 A君はお母さんの送迎で週に3回通うようになり、入塾から一ヶ月、 A君は少 しずつ話をしてくれるようになりました。勉強はというと、 なかなか先に進むこ

65 第3章 「信じ・待ち・発見する」ことのできるモチベーションクリエーターになる とができませんでしたが、どこがわからないのかをA君の言葉で伝えてくれる ようになった頃のことです。 お母さんとしては学校の定期テストに合わせて進めてほしかったようで、送 迎の際に一緒に来て、 「うちの子にはこんなふうに教えないとダメなんです!」 と、赤ペンで真っ赤に加筆されたノートを私に見せてくれました。 お母さんが 自分も教科書に沿って勉強しながらわかるところは教え続けているということ でした。 その日のA君は口数が少なくて、よくよく聞いてみると定期テストの結果が

66 よくないことで、お母さんから叱られたとのこと。テスト中は塾から帰った後 も、お母さんの特訓を受けていたそうなのです。ムダ なおしゃべりをしていない で、しっかり勉強を教わってきなさいと言われたからと、 すぐに問題集開きま した。 結局、A君はまたお母さんが見つけてきた別の塾に変わっていきました。 お母 さんはすぐにでも目に見える効果を求めていたのでしょう。もっお母さんと 話す時間を取ればよかったのかなとも思いましたが、それにもかなりの時間が かかったでしょうね。 ここで少し私の両親についてお話ししす。

67 第3章 「信じ・待ち・発見する」ことのできるモチベーションクリエーターになる 父はまじめな教師、母は自由な事業主という家庭で育ちました。家庭内に 「教 師」がいると、四六時中、 学校の規則や勉強の様子を監視されているようで落ち 着かないという話を聞きますが、我が家は母がおおらかだったこともあって、 決 まりごとなどほとんどない緩い雰囲気でした。 それでも父が教師だということで、まじめに生きなければならなという気 持ちはありました。周囲の大人たちの多くが教育者だったこともあったのだと 思います。特に強いられたわけでもないのに、 息苦しさを感じることが多かった のです。

68 高校生になると、親に内緒でバイクの免許をとって内緒で購入。 学校には遅刻 が多くなり、成績も下から数えたほうが早いほど落ちていきました。 親に反発し て家出をしたこともあります。その度、かなり怒られましたが、 どこか納得させ られる温かさのようなものがありました。 今、こうして自分が親になってみると、子どもが何か問題を起こしたきに、 平気でいられたはずはないのです。あの頃、 両親はどような気持ちでいたのか はわかりませんが、怒られているときでも、 親の態度にはゆとりが感じられまし た。器の大きさを感じていたんだと思います。

69 第3章 「信じ・待ち・発見する」ことのできるモチベーションクリエーターになる 子どもは親の動揺を見抜いていると思うのです。親が子どものことで動揺し てあたふたしてしまうのは、「これからこの子はどうなってしまうんだろう」 と いう不安に押しつぶされそうなときではないでしょうか。 そのような不安を抱いているのは子どもも同じで、子どもは親よりも経験値 が少ないうえに自分事なのですから、親よりもずっとつらはずです。 親の動揺 が伝わってしまったら、子どもは気持ちのやり場をなくしてし まいます。 親は「こうならないように」という策を考えるよりも、 子どもがどうなっても 受け止められる強さをもたなければなりません。自分の不安を解消するために、

70 子どもに頑張らせてはいけないのです。 先ほどのA君の話にもどりますが、A君は自分の成績のことでお母さんが自 分以上に動揺している様子を見て、自分の不安やわからない を に伝えられずにいたのでしょう。お母さんは子ども気持ちを考えるゆとりを すっかりなくしていたのです。 きっとお母さんにも不安を受け止めてくれる存在があれば自分と向き合え るようになるはずだと思っていました。しかし、 私の仕事はA君に勉強を教える ことであり、声がけをすることはできませんした。

71 第3章 「信じ・待ち・発見する」ことのできるモチベーションクリエーターになる そのような経験から、現在は子どもの指導とは別枠で、 「保護者のための教育 相談・子育て相談」もおこなっています。 親は子どもをしっかり受け止められる 大きな器をもった存在でなければならない……と言っても、 どうしたらよいの かわからくなることはあってあたりまえです。 子どもの情緒は親がつくる家庭環境によってかなり変わります。子どもが安 心して頼れる親でいられよう、一緒に成長していこうと いう気持ちをってい ただければ、必ず良い結果に結びつくと思っています。

72 ●部活が楽しく、勉強が嫌いなB君 B君がお母さんと一緒に、創己ゼミの説明を聞きに来たのは、中学3年生の 春でした。サッカー部 しく、本人としては充実した学校生活を送っている ようでしたので、お母さん勉強面を心配して、B君は連れてこられたという 感じでした。 まずは、本人と距離が縮まるように、他愛ない話などをしながら、 「サッカー 頑張ってて凄いね、ちなみに勉強はどんな感じ?」と聞くと 「勉強は、嫌いだし、 やる気ない」と大抵の子どもが答える返答でした。 「ちなみに、勉強できないの

73 第3章 「信じ・待ち・発見する」ことのできるモチベーションクリエーターになる と、できるはどっちがいいの?」と聞くと「できるのがいい」 とは答えます。文 章では、ニュアンスをお伝えするのは難しいかもしれませんが、会話の流れの 中で「だったら、手伝うからここでやってみる?」 と言ってみると「やってみる」 との答えがかえってきました。 「嫌いだし、やる気ない、だからやらない」ので はなく「嫌いだら、やりたくないけど、不安…」 と思っていることがほとんど なので、キッカケをつくると大抵の子は「やってみる」 と答えてくれます。 週2回英・数・国の3教科 で入会が決まり、 1か月後に講師から提案する「目 標達成進行表」 をつくるまでに、コミュニケーションを重ねながらB君の性格 をより深く把握 するように努めました。学習面は、be動詞・一般動詞理解、

74 小学校の計算、正負の計算、漢字の覚え方等の 基本事項 をやりながら学力、集 中力、勉強の速度等 を把握していきました。 最初の「目標達成進行表」では、サッカー部でレギュラー、しかも最終学年 だったので、夏までがとても忙しいことを踏まえたペース配分を提案。 英語は、 中1からの復習+中3の教科書でまだ進んでいない「ちょっと先のレッスン」 を講師がサポートしながら音読・訳するトレーニングとしました。 数学は、小 学校からの復習+学校でやる「少し先の問題」を講師が解くのを見せてまねさ せるトレーニング を中心に 「これまでの復習+学校の授業が創己ゼミの授業の 復習になる」 ように提案し、本人の意見も反映して、プランニングが完成。

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